自己都合と会社都合で失業手当はどう変わる?
給付制限・日数・金額の差
公開日 ・ 最終更新日 ・ 読む時間 約6分
執筆: やめどきナビ編集部

30秒でわかる結論
- 1日あたりの金額(基本手当日額)の計算式は自己都合でも会社都合でも同じ。差がつくのは「いつから」「何日分」
- 会社都合(特定受給資格者)は給付制限なし・給付日数90〜330日。自己都合は給付制限原則1ヶ月(2025年4月改正)・90〜150日(過去5年間に正当な理由のない自己都合離職での受給手続きが今回を含め3回以上なら3ヶ月)
- 病気などやむを得ない理由の退職は「特定理由離職者」となり、自己都合でも給付制限なしになる場合がある
「自己都合」「会社都合」は正確には3区分
雇用保険では、離職理由によっておおむね次の3つに分かれます。
- 特定受給資格者(いわゆる会社都合): 倒産・解雇(重責解雇を除く)のほか、賃金の未払いや大幅な引き下げ、離職前の連続3ヶ月で45時間超の時間外労働、ハラスメント・退職勧奨による離職なども含まれます
- 特定理由離職者: 契約更新を希望したのに雇止めされた人(範囲1)と、体力の不足・心身の障害・疾病、妊娠・出産、家族の介護など正当な理由のある自己都合離職(範囲2)
- 一般の離職者(いわゆる自己都合): 上記に当てはまらない、転職・キャリアチェンジなどの自己都合退職
違い1: 給付制限(もらい始めるまでの期間)
| 区分 | 待期7日 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 会社都合(特定受給資格者) | あり | なし |
| 特定理由離職者 | あり | なし |
| 自己都合(一般の離職者) | あり | 原則1ヶ月 |
自己都合の給付制限は、2025年4月1日以降の離職から2ヶ月→原則1ヶ月に短縮されました。
もっとくわしく(給付制限が1ヶ月にならない例外)
過去5年間に、正当な理由のない自己都合離職で受給資格決定(ハローワークでの失業手当の受給手続き)を今回を含めて3回以上受けた場合は3ヶ月です(数えるのは受給手続きをした離職で、単に転職を繰り返しただけでは対象になりません)。 また、離職日前1年以内または離職後に厚生労働省の定める教育訓練等を受講した場合は給付制限が解除されます。
初回振込の目安は会社都合で申請から約1ヶ月、自己都合で約1ヶ月半〜2ヶ月です(失業手当の計算とスケジュールの記事)。
違い2: 所定給付日数(何日分もらえるか)
会社都合(特定受給資格者)の場合
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
もっとくわしく(雇止めによる特定理由離職者の経過措置)
雇止めによる特定理由離職者(範囲1)も、離職日が2027年3月31日までであれば上と同じ日数が適用されます。
自己都合(一般の離職者)の場合
| 被保険者期間 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
同じ年齢・勤続年数でも、区分によって日数が2倍以上変わることがあります。 病気など正当な理由のある自己都合(特定理由離職者の範囲2)は給付制限なしですが、日数はこの「一般の離職者」の表です。
違い3: 受給に必要な加入期間
- 自己都合(一般): 離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上
- 会社都合・特定理由離職者: 離職日以前1年間に通算6ヶ月以上でも可
勤続1年未満で退職する場合、一般の自己都合では受給資格が得られないケースでも、 会社都合や特定理由離職者なら対象になることがあります。
違い4: 総額はどのくらい変わる?(計算例)
1日あたりの金額(基本手当日額)の計算式と年齢別の上限は離職理由に関係なく同じで、差がつくのは日数です。
計算例: 35歳・月給30万円・加入12年(基本手当日額は2026年8月1日改定の式で算出)
賃金日額 = 30万円 × 6ヶ月 ÷ 180 = 10,000円 → 給付率63.1% → 基本手当日額 6,307円
自己都合: 120日 × 6,307円 = 総額約75.7万円
会社都合: 240日 × 6,307円 = 総額約151.4万円
違い5: 国民健康保険料の軽減
会社都合(特定受給資格者)と特定理由離職者は、国保に加入する場合、前年の給与所得を30/100として保険料を算定する軽減(離職日の翌日の属する月から、その年度の翌年度末まで)を市区町村に申請できます(対象コードと手順は退職後の健康保険の比較記事)。
離職理由はどう決まる?納得できないときは
離職理由は、会社が作成する離職票の記載と本人の主張をもとに、最終的にハローワークが判定します。 会社の記載が「自己都合」でも、実態が退職勧奨や長時間労働・賃金未払いによる離職であれば、 手続きの際にその旨を申し出ることで判定が変わる可能性があります。
離職票-2の離職理由欄の読み方と、異議があるときの手順
離職票-2の右半分が離職理由欄(⑦欄)です。「事業主記入欄」と「離職者記入欄」の2列の□が並び、会社が主張する理由に○が付いています。 右端の「※離職区分」1A〜5Eはハローワークが丸を付ける記号(1A・1B=解雇・倒産、3A=退職勧奨、4D・5E=自己都合の系統)。 「具体的事情記載欄(離職者用)」は、異議がなければ「同上」と書く書式です。
在職中: 離職証明書の⑯欄で「異議 有り」に○
会社は離職日までに本人に記載内容を確認させ、⑯欄「事業主が○を付けた離職理由に異議 有り・無し」に○と氏名を書かせる運用です離職票-2が届いたら: 離職者記入欄に自分の理由で○、具体的事情記載欄(離職者用)に事実を書く
「同上」とは書かず、日付・相手・言われた内容を簡潔に。⑯欄も「有り」に○資料をそろえ、求職の申込み時に窓口で「離職理由に異議がある」と伝える
ハローワークは双方の主張と資料を突き合わせ、会社側にも事実確認をして判定します(資料の例は次の表)納得できなければ、処分を知った日の翌日から3ヶ月以内に雇用保険審査官へ審査請求
「異議 無し」で出した後でも申出はできますが、署名入りの書類が残るぶん立証は難しくなります
判断が分かれやすいケースと、確認する数字・持っていく資料
ハローワークの判断基準には数値条件があります。退職前に手元の資料で確かめておきます。
| ケース | 特定受給資格者になり得る条件(概要) | 手元で見る資料・確認先 |
|---|---|---|
| 退職勧奨 | 事業主から退職を促され、応じて離職した(事業主が人員整理のために行う希望退職の募集への応募を含む。恒常的な早期退職優遇制度への応募などは該当しない場合がある) | 面談の日時と発言のメモ、メール、退職勧奨の通知。勧奨のやり方を争うなら労働局の総合労働相談コーナー |
| 長時間労働 | 離職前6ヶ月のうち、連続3ヶ月で各月45時間超/1ヶ月で100時間超/連続2〜6ヶ月の平均で月80時間超の時間外労働 | 給与明細の時間外欄、タイムカード。記録が会社にしかなければ労働基準監督署 |
| 賃金の遅配・引き下げ | 賃金の3分の1超の未払いが2ヶ月以上続いた/賃金(賞与を除く)が予見できないまま85%未満に低下 | 給与明細と通帳の入金記録、賃金規程の改定通知。未払い分の請求は労働基準監督署 |
最終判定は資料を見たハローワークが行います。数字に届かなくても、ハラスメントや医師の判断がある体調悪化は別の項目で該当する可能性があります。
よくある言い分と、その根拠
言い分1: 「会社都合にすると助成金がもらえなくなるから、自己都合で出してほしい」
前半は事実を含みます。雇用関係助成金の多くに「一定期間内に被保険者を事業主都合で解雇等(退職勧奨を含む)していないこと」という要件があり、離職証明書の注意書きにも明記されています。 ただし離職理由は雇用保険法23条2項・33条2項のとおりハローワークが判定し、実態と異なる理由を事業主が記載すれば、助成金側では不正受給、雇用保険側では虚偽記載として返還・納付命令の連帯対象になると案内されています。 あなたの給付日数(下の表では最大約121.4万円の差)を削る理由にはなりません。
言い分2: 「退職届を自分で書いた以上、どうやっても自己都合」
退職届の有無と区分は別です。退職勧奨に応じた退職は離職票-2の「4(3) 希望退職の募集又は退職勧奨」に当たり、特定受給資格者(受給資格者証のコード31)になり得ます。ただし恒常的な早期退職優遇制度への応募など募集の性質によっては該当しない例外があり、最終判定はハローワークが離職票と事情を確認して個別に行います。 病気・妊娠・介護など正当な理由のある自己都合も特定理由離職者(コード33・34)として給付制限なしになり得ます。判定は事実関係で行われるため、上の手順で主張と資料を残すことが先です。 「自己都合は3ヶ月もらえない」という一律3ヶ月の説明も、現在の制度には当てはまりません。2025年4月1日以降の離職は雇用保険法33条1項の範囲内で原則1ヶ月に改められ、3ヶ月になるのは、正当な理由のない自己都合離職による受給資格決定が、過去5年間で今回を含めて3回目以降になる場合です(会社都合や正当な理由のある離職の受給歴は数えません)。
病気で退職する人は「特定理由離職者」と受給期間延長を確認
うつ病などの体調不良で退職する場合、正当な理由のある自己都合離職(特定理由離職者)と判断されれば給付制限なしになる一方、 「働ける状態」でなければそもそも失業手当を受給できません。すぐに働けない人は、先に受給期間延長の申請を検討してください。
3区分の比較表: 要件・給付制限・日数・総額の目安
年齢・加入年数の違う3つのモデルで総額を並べます(基本手当日額は2026年8月1日改定の式、賞与なし・月給は離職前6ヶ月の平均。 病気などの特定理由離職者は給付制限なしで、日数は自己都合の列と同じ)。
| モデル | 賃金日額 → 基本手当日額 | 自己都合 | 会社都合 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 28歳・月給22万円・加入3年 | 7,333円 → 5,357円(73.1%) | 90日 = 約48.2万円 | 90日 = 約48.2万円 | なし(給付制限の有無のみ) |
| 35歳・月給30万円・加入12年 | 10,000円 → 6,307円(63.1%) | 120日 = 約75.7万円 | 240日 = 約151.4万円 | 約75.7万円 |
| 50歳・月給40万円・加入25年 | 13,333円 → 6,744円(50.6%) | 150日 = 約101.2万円 | 330日 = 約222.6万円 | 約121.4万円 |
賃金日額は「離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180」(年齢別の上限あり)。給付率は賃金日額が高いほど下がるため、月給40万円でも日額は月給30万円の1.07倍程度です。
次の行動: 状況別に「何を持って・どこへ」
在職中で、退職勧奨や長時間労働が理由になりそうな人
今日から記録を残す(勤怠画面の保存、面談メモは当日中に日時つきで)。退職から14日たっても離職票が届かなければ会社とハローワークに催促を離職票の記載が「自己都合」で納得できない人
離職票-1・-2、マイナンバーカード、資料、通帳を持って住所地のハローワークへ。判定待ちでも受給手続きは遅らせない(受給期間は離職日の翌日から12ヶ月)自己都合で確定した人・病気で働けない人
前者は退職後、失業手当の手続きと並行して期限内(退職日の翌日から14日以内)に国保・国民年金の切り替えを済ませ、失業手当シミュレーターで見込み額を確認。後者は受給期間延長の申請を優先
よくある質問
自己都合と会社都合で、失業手当の1日あたりの金額は変わりますか?
変わりません。1日あたりの金額(基本手当日額)は「賃金日額×給付率(おおむね50〜80%)」で、離職理由に関係なく同じ計算式です。年齢別の上限(例: 30〜44歳は8,270円。2026年8月1日改定)も共通です。差がつくのは「いつから(給付制限)」と「何日分(所定給付日数)」で、同じ年齢・同じ勤続年数でも日数が2倍以上変わることがあります。正確な金額はハローワークが離職票をもとに決定します。
自己都合退職の給付制限はどのくらいですか?
2025年4月1日以降の離職から、2ヶ月→原則1ヶ月に短縮されました。ただし過去5年間に、正当な理由のない自己都合離職による受給資格決定(ハローワークでの失業手当の受給手続き)を今回を含めて3回以上受けた場合は3ヶ月です。数えるのは受給手続きをした離職であり、単に転職を繰り返しただけでは対象になりません。また、離職日前1年以内または離職後に厚生労働省の定める教育訓練等を受講した場合は給付制限が解除されます。会社都合(特定受給資格者)と特定理由離職者には給付制限はありません。
病気で退職した場合は自己都合になりますか?
体力の不足・心身の障害・疾病など、正当な理由のある自己都合離職は「特定理由離職者」と判断されれば給付制限なしになる場合があります(給付日数は一般の離職者と同じ表が適用されます)。ただし失業手当は「働ける状態」であることが受給の前提のため、すぐに働けない人は先に受給期間延長の申請を検討してください。離職理由の最終判定はハローワークが行います。
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出典(公的機関)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(ハローワーク)・確認日: 2026-08-15
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(受給要件)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(ハローワーク)・確認日: 2026-08-15
- ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(ハローワーク)・確認日: 2026-08-15
- 厚生労働省「自己都合離職者の給付制限の見直し(令和7年4月施行)」(リーフレット掲載。給付制限3ヶ月となる「5年間で3回以上の受給資格決定」の基準を含む)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-23
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和8年8月1日改定)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-15
- 厚生労働省「倒産・解雇などにより離職された方の国民健康保険料(税)軽減」リーフレット(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-15
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」(離職証明書の記載内容の確認・離職理由に異議がある場合)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(ハローワーク)・確認日: 2026-08-23
- e-Gov法令検索「雇用保険法」(第20条 受給期間、第21条 待期、第22条・第23条 所定給付日数と特定受給資格者、第33条 給付制限)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: デジタル庁(e-Gov)・確認日: 2026-09-07
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者離職票-2」(記入例。⑦離職理由欄・離職区分・⑯離職者本人の判断欄)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(ハローワーク)・確認日: 2026-09-07
- 神奈川労働局・ハローワーク「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」(離職理由の判定方法、⑯欄「異議 有り・無し」、虚偽記載の連帯責任、雇入れ関係助成金の不支給要件)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省(神奈川労働局)・確認日: 2026-09-07
- 厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等」(事業主都合の解雇等・離職理由の虚偽は助成金の不正受給に当たる旨)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-09-07
- 新宿区「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減について」(雇用保険受給資格者証の離職理由コード11・12・21・22・31・32/23・33・34)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 新宿区・確認日: 2026-09-07
※ 本記事の内容は一般的な制度の解説であり、個別の受給可否・支給金額を保証するものではありません。実際の判断は加入する健康保険・ハローワークにご確認ください。
※ 離職理由の判定は、住所地を管轄するハローワークが行います。