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手続き・その他

「給付金サポート」業者に頼む前に。
高額手数料の実態と自分で申請する方法

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読む時間 約8分

執筆: やめどきナビ編集部

30秒でわかる結論

  • 広告にある「退職給付金」という名称の公的な給付制度が別途あるわけではなく、その実体は失業保険(雇用保険の基本手当)や傷病手当金など、要件を満たす人が業者を介さず自分で無料で申請できる公的制度です
  • 「受給額が増える」とうたう申請サポートの相談が全国の消費生活センターに急増しており、平均契約金額は約29万円です
  • 報酬を得て申請書類の作成・提出を代行できるのは、法律上社会保険労務士(と弁護士)だけです
  • 最大のリスクはお金より不正受給に巻き込まれることで、業者に言われたとおりにしただけでも本人は返還+最大2倍相当の納付命令(合計で最大3倍相当)や刑事罰の責任を免れません
  • 申請はハローワーク・協会けんぽ等で無料で相談できるため、契約前に必ず立ち止まってください

「退職給付金」という名前の公的制度はない

まず前提の確認です。国民生活センターの報道発表資料(2025年12月3日)によると、広告で見かける「退職給付金」とは、要件を満たす本人が業者を介さずハローワークで申請できる失業保険のこと(文脈によっては健康保険の傷病手当金を含む)であり、業者を通さないともらえない特別なお金ではありません (勤務先の退職金・企業年金の有無とは別の話です)。

失業保険(基本手当)の仕組みと金額は失業手当の計算の記事、傷病手当金の仕組みは傷病手当金は退職後もいつまでもらえる?の記事で解説しています。

相談件数は4年で5倍超に増えている

国民生活センターによると、「失業保険の受給額や受給期間が増える」とうたう申請サポートに関する相談件数(PIO-NET登録分)は 次のように推移しています。

年度相談件数
2021年度42件
2022年度54件
2023年度113件
2024年度217件
2025年度(10月31日まで)216件(前年同期90件の2.4倍)

相談の主な内容は、次の3類型です。

  1. 申請サポートを依頼すれば受給額が増えると期待したが、実際には増えなかった
  2. 途中で解約を希望したが、事業者が認めなかったり、違約金を請求された
  3. うつ病などのメンタル不調はないのに指定のクリニックで受診するよう指示されるなど、不正受給を促すかのような誘導をされた

手数料の実態: 平均契約金額は約29万円

同発表の末尾に付いた集計によると、こうした申請サポート契約の平均契約購入金額は約29万円で、金額帯別では10万〜50万円未満が169件中146件と大半を占めます(2024年度〜2025年10月末の相談データ)。

公表された相談事例でも、「社会保障制度を利用すれば最大200万円の失業保険が受給できる」と説明されて約30万円の契約を申し込んだが、説明どおりの給付は受けられなかったケースが紹介されています。

ここで思い出してほしいのは、失業保険の給付額・給付日数は退職理由・年齢・勤続年数・賃金から法令に基づいて決まるものであり、行政機関の審査で決定されるという点です。誰かに依頼したから増える、という性質のお金ではありません。 給付の目安は失業手当シミュレーターで無料で確認できます。

法律上、報酬を得て申請を代行できるのは社労士だけ

失業保険などの労働・社会保険制度に関する申請書等の作成や提出を報酬を得て代行できるのは、法律で定められた社会保険労務士(社労士)や社労士法人などに限られます(社会保険労務士法第27条。このほか弁護士・弁護士法人も可)。

資格のない事業者が行えるのは一般的な情報提供に限られ、名目が「助言」や「サポート」でも、 個別の申請書の記載内容を実質的に作成する行為は実態によって社労士法上の問題になり得ます。 国民生活センターも、契約前に「資格を持っているか、サービス内容が金額に見合っているか、解約条件はどうなっているか」を慎重に確認するよう呼びかけています。

最大のリスクは「不正受給に巻き込まれること」

手数料の損失以上に深刻なのが、本人が不正受給の当事者になってしまうリスクです。

公表事例には、うつ病ではないと思っている相談者が、「退職日までに事業者が指定したオンライン診療のメンタルクリニックを受診し、 うつ病との診断を受けたら、すぐに仕事ができないという内容の書類をハローワークに提出する」よう案内され、うつ病と診断されるためのマニュアルまで送られてきたというケースが含まれています。

実際の状況と異なる虚偽の内容で申請して不正受給と判断された場合、申請者本人は次の責任を免れません(業者側に責任が生じても、本人の返還義務等がなくなるわけではありません)。

  • 受給した金額の最大3倍に当たる金額の返金・納付を命じられる(雇用保険法第10条の4。いわゆる「3倍返し」)
  • 悪質な場合は詐欺罪等として刑事罰の対象になる
注意: 国民生活センターは「『知らなかった』『事業者に言われたとおりにした』では済まされません」と明記しています。 傷病手当金についても同様に、偽りその他不正の行為で給付を受ければ保険者による返還徴収等の対象です。 「働けないことにする」ためのテクニックを提供するサポートは、その時点で危険信号と考えてください。

なお、本当にうつ病・適応障害などで働けない人が正規の手続きで傷病手当金や失業保険を使うのは正当な権利の行使です。その使い方はうつ・適応障害で退職するときの制度まとめにあります。

「傷病手当金と失業保険を合わせて数百万円」は成り立つか

公表事例3の勧誘文句は「最短で1か月後には傷病手当が出て、失業給付も10か月間に延長できる」でした。

宣伝の言い回し制度上の扱い根拠
傷病手当金と失業保険を同時にもらえる傷病手当金は「療養のため労務に服することができない」こと、基本手当は「労働の意思及び能力」があることが要件で、同じ期間について両方の要件を満たすと認められることは通常なく、保険者とハローワークがそれぞれ個別に判断します。働けない間は受給期間延長(最長3年)で先送りするのが正規の順番です健康保険法第99条、雇用保険法第4条第3項、ハローワーク「基本手当について」(2026-09-06確認)
失業給付を10か月に延長できる所定給付日数は法定(自己都合は被保険者期間1〜10年未満90日・10〜20年未満120日・20年以上150日)で、受給期間延長は期限を延ばすだけで日数は増えませんハローワーク「基本手当の所定給付日数」(2026-09-06確認)
業者の指示どおりにしただけなら責任はない返還命令と2倍以下の納付命令の名宛人は「偽りその他不正の行為により支給を受けた者」=本人です。事業主等への連帯納付命令の規定があっても本人の義務は消えません雇用保険法第10条の4第1項・第2項(2026-09-06確認)

「合わせて数百万円」という金額自体は、働けない間に傷病手当金を最長1年6か月受け取り、回復後に基本手当を所定給付日数分受け取れば、重ねなくても合計で届くことがあります。 問題は金額ではなく、同時受給・日数の水増し・事実と違う申告を前提にした勧誘です。正規の切り替え方(働けない間は受給期間延長で先送りし、回復後に基本手当)は傷病手当金と失業保険の順番の記事にまとめています。

契約前に確かめる5項目(社労士登録・料率・返金条件)

契約書にサインする前に次の5点を順番に確認し、1つでも答えが返ってこなければ契約しない判断で差し支えありません。

  1. 社会保険労務士(または弁護士)として登録されているか

    事業者名と担当者名を控え、全国社会保険労務士会連合会のサイトから各都道府県社労士会の「会員リスト」で検索し、見つからなければ県会に電話で照会します
  2. 報酬の決め方と料率(成功報酬なら「何に対する何%か」)

    「受給総額の◯%」か「増えた分の◯%」か、着手金の有無を書面で確認します。受給額は法令と審査で決まるため「増えた分」は原則生じません。平均契約額約29万円は、基本手当日額が下限の人の自己都合90日分(2,562円×90日=230,580円)を上回ります
  3. 解約・返金の条件と違約金の額

    サポート開始前の解約で全額返金されるかを確認します。公表事例2では、約20万円を振り込んだ後に退職を取りやめて解約を申し出たところ「大部分が違約金になる」と言われています
  4. 「不正受給になっても自己責任」「受給できなくても返金しない」といった条項の有無

    この種の免責条項は、事業者自身が不正受給のリスクを認識している合図です。返還・納付命令と刑事罰の責任は申請者本人に向かいます(雇用保険法第10条の4)
  5. 指示される内容が事実と一致しているか

    「退職理由をうつ病にする」「指定のクリニックを受診する」といった指示が1つでもあれば、事実と異なる申請を前提にしたサポートです。契約せず188に相談してください

自分で申請した場合と業者に頼んだ場合の比較

手間と費用を自分で申請する場合と並べます(時期は当サイトの定数に基づく目安)。

比較項目自分で申請する業者に頼む
費用0円。手数料はなく、ハローワーク・協会けんぽでの相談も無料平均約29万円(10万〜50万円未満が169件中146件)。違約金の定めがある例も
ハローワークに行く回数求職申込み1回、初回説明会1回、以後28日ごとの認定日同じ。来所と失業認定申告書の提出は本人にしかできません
初回振込までの目安会社都合: 約1〜1.5か月。自己都合(給付制限1か月): 約1.5〜2か月変わりません。審査と支給決定はハローワークが行います
金額・日数と相談先法定どおり。相談はハローワーク・協会けんぽ変わりません。契約トラブルは消費生活センター(188)

違いは費用とリスクだけで、離職票・マイナンバーカード・本人名義の通帳を持ってハローワークに行けば足りる手続きです(流れは失業手当の計算の記事)。

自分で申請する方法: 手数料はかからない

失業保険も傷病手当金も、申請そのものに手数料はかからず、書き方の相談も無料でできます。

  1. 失業保険(基本手当)

    会社から離職票を受け取り、住所地を管轄するハローワークで求職申込みと受給資格の手続きをします。 書類の書き方はハローワークで無料で案内を受けられます。 手順の全体像は失業手当の計算と受給スケジュールの記事を参照してください
  2. 傷病手当金

    申請書は協会けんぽ(または加入する健康保険組合)のサイトから無料で入手でき、 療養担当者(医師)の意見欄と事業主の証明欄を整えて保険者に提出します。 相談窓口は協会けんぽの各支部・健保組合です

不安があれば、まず無料の公式窓口に相談してから判断して遅くありません。専門家に依頼するなら上の5項目の確認が出発点です。

電話・SNS経由の契約はクーリング・オフできる?

特定商取引法のクーリング・オフは、契約に至った経路(取引類型)で可否が分かれます。

契約に至った経路類型(目安)クーリング・オフ
事業者からの電話で勧誘され、その電話または後日の連絡で申し込んだ電話勧誘販売法定書面の受領日から8日以内なら書面または電磁的記録で無条件に解除できます。電話を切った後に申し込んだ場合も該当します
SNS・ネット広告から自分で登録し、WEB会議で説明を受けて申し込んだ通信販売の可能性が高いクーリング・オフの規定がなく、契約書の解約条項と勧誘時の説明が事実と違わなかったかが争点になります
自宅や喫茶店など店舗以外で対面勧誘を受けた訪問販売法定書面の受領日から8日以内は解除できます

類型は勧誘の経緯で判断が分かれるため、契約書・申込画面・広告URL・DMやメールの履歴・支払明細・事業者の「マニュアル」を集めて消費生活センターに相談してください。

状況別の次の一手: 契約前なら上の5項目を確認し、1つでも不明なら契約しない。契約後・未払いなら支払う前に188へ電話し、事業者には支払いを保留する旨を書面(メール可)で伝える。支払い済みで指示が事実と違うなら、指示に従う前に188とハローワークの両方に相談する。 すでに事実と異なる内容で申請してしまった場合も、自分からハローワークに申し出るのが被害を最小にする道です。

不安に思ったら: 消費者ホットライン188

すでに契約してしまった場合や、勧誘に不安を感じた場合の相談先です。

  • 消費者ホットライン「188(いやや!)」: 最寄りの消費生活センター等を案内する全国共通番号
  • ハローワーク: 失業保険の手続きに関する疑問は、住所地を管轄するハローワークへ

失業手当シミュレーター

退職日と月給を入れると、もらえる金額の目安と受給スケジュールを時系列で確認できます。

無料でシミュレーションする →

よくある質問

「退職給付金が最大200万円もらえる」という広告は本当ですか?

広告にある「退職給付金」という名称の公的な給付制度が別途あるわけではありません(勤務先の退職金制度とは別の話です)。国民生活センターの報道発表資料(2025年12月3日)では、雇用保険制度に基づく失業等給付が「失業保険」「失業手当」「退職給付金」などと呼ばれることもあると説明されています。つまり広告で見かける「退職給付金」とは、ハローワークで誰でも申請できる失業保険のこと(文脈によっては健康保険の傷病手当金を含む)であり、業者を通さないともらえない特別なお金ではありません。給付額・給付日数は退職理由・年齢・勤続年数・賃金から法令に基づいて決まり、行政機関の審査で決定されるため、誰かに依頼したから増えるという性質のお金でもありません。

申請サポート業者に依頼するとどんなリスクがありますか?

国民生活センターには「受給額が増えると期待したが実際には増えなかった」「解約を認めてもらえず違約金を請求された」「不正受給を促すかのような誘導をされた」といった相談が寄せられており、平均契約金額は約29万円です。最大のリスクは不正受給に巻き込まれることで、実際の状況と異なる虚偽の内容で申請して不正受給と判断されれば、業者に言われたとおりにしただけでも申請者本人は不正受給額の返還に加えて最大2倍相当の納付命令(合計で最大3倍相当)や刑事罰の責任を免れません。業者側にも共犯等として民事・刑事・行政上の責任が生じ得ますが、それによって本人の返還義務等がなくなるわけではありません。国民生活センターは「『知らなかった』『事業者に言われたとおりにした』では済まされません」と明記しています。

失業保険や傷病手当金の申請は自分でできますか?

できます。申請そのものに手数料はかからず、書き方の相談も無料でできます。失業保険は会社から離職票を受け取り、住所地を管轄するハローワークで求職申込みと受給資格の手続きをします。傷病手当金の申請書は協会けんぽ(または加入する健康保険組合)のサイトから無料で入手できます。専門家に依頼したい場合も、報酬を得て申請書類の作成・提出を代行できるのは法律上、社会保険労務士(と弁護士)だけのため、有資格者かどうかの確認が出発点です。

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出典(公的機関)

※ 本記事の内容は一般的な制度の解説であり、個別の受給可否・支給金額を保証するものではありません。実際の判断は加入する健康保険・ハローワークにご確認ください。

※ 本記事は特定の事業者・サービスについて述べるものではありません。契約トラブルは消費生活センター(188)へ、受給手続きはハローワーク・協会けんぽ等の公式窓口へご相談ください。