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手続き・その他

退職後の住民税はいくら来る?
一括徴収と普通徴収の仕組み

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読む時間 約7分

執筆: やめどきナビ編集部

30秒でわかる結論

  • 住民税は前年1年間の所得に対して、翌年6月〜翌々年5月に払う「後払い」の税金。退職して収入がなくなっても、前年分の支払いは残ります
  • 会社員は給与天引き(特別徴収)で払っていますが、退職すると天引きできなくなるため、残額の払い方が退職月で変わります
  • 1〜5月に退職 → 残額を最後の給与や退職金から一括徴収が原則。6〜12月に退職 → 自分で納付書で払う普通徴収に切り替わる(希望すれば一括徴収も可)
  • さらに翌年6月には、退職した年の所得に対する新年度分の納税通知書が届きます。「辞めた翌年の住民税」が家計の山場です

住民税は「前年の所得への後払い」

住民税(個人住民税)は、その年の1月1日時点で住所がある市区町村から、前年の1月1日〜12月31日の所得に対して課税されます。 税額は、課税所得(所得控除を差し引いた後の金額)の約10%(所得割)+定額の均等割で決まります。

もっとくわしく(所得割・均等割の内訳)

所得割は課税所得の10%(道府県民税4%+市町村民税6%。政令指定都市は2%+8%)が標準税率です。

均等割は所得にかかわらず定額で、標準は年4,000円(道府県民税1,000円+市町村民税3,000円)。 2024年度からはこれと併せて森林環境税(国税)1,000円が徴収されます。 自治体の判断で税率・税額が異なる場合があります。

重要なのは「後払い」だという点です。 例えば2026年中に退職した場合、2026年6月〜2027年5月に払う住民税は2025年の所得に対するもの。 退職して収入が下がっても、この分の支払いは変わりません。

在職中は、会社員は特別徴収(会社が給与から天引きして納める仕組み)で、 年税額の12分の1を6月から翌年5月までの12回に分けて払っています。

給与明細の「住民税」欄の金額は、この月割額です。退職後にいくら来るかを見積もる出発点になるので、まず手元の給与明細で確認してください。

退職すると残りはどう払う?退職月で決まる

退職して給与がなくなると天引きが続けられないため、まだ払っていない残額(給与からまだ控除されていない月割額。通常は退職月の翌月以降で、退職月分が最終給与で控除されなければその月も含む)の払い方が次のように変わります。

退職月原則の扱い
6月〜12月残額は普通徴収(市区町村から届く納付書で自分で払う)に切替。本人が申し出れば、最後の給与や退職金からの一括徴収も選べます
1月〜5月残額は、申出の有無にかかわらず最後の給与や退職金から一括徴収が原則(5月31日までに支払われる給与・退職金が残額に満たない場合は普通徴収に切替)

1〜5月退職の一括徴収は法令に基づく扱いのため、「最後の給与の手取りが思ったより少ない」という事態が起こりがちです (残額の目安の計算例は下記へ)。

なお、退職後すぐに転職する場合は、手続きにより転職先で特別徴収を継続できることがあります。転職先の経理担当に相談してください。

普通徴収は年4回: 6月頃に納税通知書が届く

普通徴収に切り替わると、市区町村から納税通知書(納付書)が届きます。 納期は市区町村の条例で定められますが、法律上の標準は6月・8月・10月・翌年1月の年4回です(地方税法第320条)。

注意: 12分割の天引きから4分割の納付書払いに変わるため、1回あたりの金額は月々の天引き額の約3倍になります。 「こんなに来るとは思わなかった」となりやすいポイントです。

いくら来るかの目安の立て方

正確な税額は市区町村が決定しますが、目安は次の手順で概算できます。

  1. 給与明細の「住民税」欄で月割額を確認する

  2. まだ控除されていない月数を数える(通常は退職月の翌月〜翌年5月。退職月分が最終給与で控除されなければその月も加える)

  3. 月割額×残り月数が、一括徴収または普通徴収に回る残額の目安

計算例: 月割額15,000円・8月末退職の場合

残額の目安: 15,000円 × 9ヶ月(9月〜翌5月)= 約13.5万円

翌年6月からの新年度分の目安(前年と同水準で働いた年の翌年): 15,000円 × 12 = 約18万円

後者は退職した年も前年と同じ年間所得だった場合の目安で、年の途中で退職して収入が減れば下がります(式は下記「翌年6月に来る新年度分」へ)。

源泉徴収票と決定通知書から見積もる手順

  1. 決定通知書の「7月分以降」の月割額を見る

    毎年5〜6月に勤務先経由で配られ、「年税額」「所得割額」「均等割額」「課税標準額」も載っています(新宿区の様式解説)。なければ給与明細の住民税欄、それもなければ市区町村の課税証明書で代用します。
  2. 前年分の残額 = 7月分以降の月割額 × まだ控除されていない月数(通常は退職月の翌月〜翌年5月)

    対象はまだ徴収されていない月割額です(地方税法第321条の5第2項)。当月分を当月の給与から控除する勤務先なら退職月の翌月以降、退職月分が最終給与で控除されない支払形態ならその月も含みます。決定通知書の月割額と最終給与明細の控除額で確認してください。
  3. 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」−「所得控除の額の合計額」を出す

    年の途中で退職した人には退職日以後1か月以内に交付されます(所得税法第226条)。この差額が所得税で見た課税所得です。
  4. 基礎控除の差を足し戻し、×10% − 調整控除 + 均等割

    この手順は年末調整済みの源泉徴収票が前提です。年の途中で退職して年末調整されていない源泉徴収票は「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」が空欄のことがあり、その場合は翌年の確定申告後の額が基準になります。住民税の基礎控除は43万円で、所得税(令和7年分は58万〜95万円、令和8年分以降は62万〜104万円。国税庁No.1199)より小さいため、差の15万円以上を課税所得に足し戻します。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除なども所得税と住民税で控除額が異なるため、基礎控除以外の控除がある人はその差の分も動きます(ここでの見積もりは粗い目安で、正確な額は税額決定通知書・納税通知書で確認してください)。調整控除は基礎控除だけの人なら多くの場合2,500円(地方税法第314条の6)、均等割は標準で年5,000円です。

退職月×前年の課税所得別: いつ・いくら来るか

税率10%・調整控除2,500円・均等割5,000円(森林環境税1,000円を含む標準税率。2026年度時点)、単身・基礎控除のみのモデルです。実際の所得割は道府県民税(4%)と市町村民税(6%)をそれぞれ100円未満切り捨ててから合算するため、ここでの年税額・月割額は数百円ずれることがある粗い概算です。均等割と税率は自治体で変わります(後述)。

前年の課税所得年税額(計算過程)3月末退職: 4〜5月分を一括徴収(3月分は最終給与で控除済みの前提)8月末退職: 9月〜翌5月分を普通徴収(8月分は控除済みの前提)
200万円200万円×10%−2,500円+5,000円=202,500円(月割16,800円)16,800円×2か月=33,600円16,800円×9か月=151,200円
300万円300万円×10%−2,500円+5,000円=302,500円(月割25,200円)25,200円×2か月=50,400円25,200円×9か月=226,800円
400万円400万円×10%−2,500円+5,000円=402,500円(月割33,500円)33,500円×2か月=67,000円33,500円×9か月=301,500円

月割額は年税額÷12の100円未満切捨て(端数は6月分に寄せる通知書の様式に合わせた概算)。退職月分が最終給与で控除されない支払形態では、表の月数に1か月分を足してください。 8月末退職の226,800円は残りの納期(標準では10月・翌年1月の2回)に分かれ、1回あたり約11.3万円です。

翌年6月に来る新年度分の計算式

新年度分の年税額 ≒(退職年の給与収入 − 給与所得控除 − 所得控除)× 10% − 調整控除 + 均等割

例: 8月末退職・1〜8月の給与と賞与の合計が400万円

給与所得控除: 400万円×20%+44万円=124万円(国税庁No.1410)→ 給与所得276万円

所得控除: 社会保険料控除60万円(源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄)+基礎控除43万円=103万円 → 課税所得173万円

所得割: 173万円×10%−2,500円=170,500円 → 均等割5,000円を足して 約17.6万円(12月まで働いた場合の302,500円の約6割)

含めないもの: 退職金(支払時に分離課税で天引き済み)、失業手当(雇用保険法第12条)、傷病手当金(健康保険法第62条)。 退職年の合計所得が45万円以下(東京23区・扶養親族なしの基準。級地で異なる)なら翌年度は均等割も非課税です(東京都主税局)。

失業手当は非課税: 翌々年の住民税は下がる

失業手当(基本手当)などの失業等給付には、税金を課すことができないと法律で定められています(雇用保険法第12条)。 つまり、失業手当を受給しても、その分は翌年の住民税の計算に入りません。 退職の翌年を無収入+失業手当で過ごした場合、翌々年度の住民税は大きく下がる(所得がなければ非課税となる場合もある)ことになります。

失業手当がいつから・いくらもらえるかは失業手当シミュレーターで目安を確認できます。

払えないときは放置せず市区町村に相談

納付書を放置して滞納すると、延滞金や督促の対象になります。払うのが難しいときは、納期限前に市区町村の税務担当課に相談してください。 分割納付の相談のほか、災害・失業・生活困窮など特別の事情がある場合には、条例に基づく減免の制度が設けられていることがあります(地方税法第323条)。 減免の要件・内容は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村に確認してください。

なお、退職後の固定費では国民健康保険・年金の負担も大きくなります。健康保険の選び方は国保と任意継続の比較記事で解説しています。

自治体で変わるポイントと減免の確かめ方

項目どう違うか何をどこで確認するか
均等割の額標準は年5,000円。横浜市は横浜みどり税900円・水源環境保全税300円が上乗せで年6,200円決定通知書・納税通知書の「均等割額」欄
所得割の税率標準は10%。神奈川県は県民税に0.025%の超過課税(2026年度まで)決定通知書の「税率」欄
減免の要件地方税法第323条を受けた条例で決まる。横浜市は「1か月以上失職して所得がなく前年所得が一定額以下」または「失職等で所得が前年より一定割合以上減少」の場合市区町村の税務担当課に「住民税の減免」で問い合わせ

横浜市の案内では、申請は納期限前、納期限を過ぎた分と納付済みの分は原則対象外、 必要書類は離職票・雇用保険受給資格者証など退職日が分かるものと預貯金通帳です。納付書が届いたらこれらを持って窓口へ行き、減免・分割納付・徴収猶予のどれが使えるかを聞きます。要件と減免割合は自治体ごとに異なります。

退職金の住民税は別枠: 受け取るときに天引き済み

退職金(退職手当等)にかかる住民税は、毎年の住民税とは別枠で、原則として退職金の支払時に会社が天引き(特別徴収)して納付します。 そのため、退職金については翌年に納付書が来る心配は原則ありません。退職所得控除の仕組みと税額の計算は退職金の税金の記事で詳しく解説しています。

退職前後のお金の全体像として、失業手当の金額・スケジュールは失業手当の計算の記事とシミュレーターで、受給中にバイトをする場合のルールは認定日とバイト申告の記事で確認できます。

失業手当シミュレーター

退職日と月給を入れると、もらえる金額の目安と受給スケジュールを時系列で確認できます。

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よくある質問

退職したら住民税はいつ・どうやって払いますか?

住民税は前年の所得に対する後払いのため、退職して収入がなくなっても前年分の支払いは残ります。1〜5月に退職した場合は、残額を最後の給与や退職金から一括徴収が原則です。6〜12月に退職した場合は、市区町村から届く納付書で自分で払う普通徴収に切り替わります(本人が申し出れば一括徴収も選べます)。さらに翌年6月には、退職した年の所得に対する新年度分の納税通知書が届きます。

退職後の住民税はいくらぐらい来ますか?

給与明細の「住民税」欄の月割額から概算できます。「月割額×退職月の翌月から翌年5月までの月数」が一括徴収または普通徴収に回る残額の目安で、例えば月15,000円の人が8月末に退職し、8月分を最後の給与で控除済みなら9月〜翌5月の9ヶ月分・約13.5万円です。退職月分がまだ控除されていない支払形態(月末締め翌月払いなど)ではその月も残額に含まれ1か月分増えるため、決定通知書と最終給与明細のどこまで控除されたかで確認します。翌年6月には新年度分が届き、前年と同水準で働いた年の翌年なら年額の目安は「月割額×12」です。あくまで機械的な概算であり、実際の税額は所得控除や自治体の税率によって変わり、市区町村が決定します。

住民税が払えないときはどうすればいいですか?

納付書を放置して滞納すると、延滞金や督促の対象になります。払うのが難しいときは、納期限前に市区町村の税務担当課に相談してください。分割納付の相談のほか、災害・失業・生活困窮など特別の事情がある場合には、条例に基づく減免の制度が設けられていることがあります(地方税法第323条)。減免の要件・内容は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村に確認してください。

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出典(公的機関)

※ 本記事は一般的な制度の解説であり、個別の税額を保証するものではありません。 実際の住民税額・納期・減免の可否は、お住まいの市区町村の税務担当課にご確認ください。